仏にホットケーキ
今日は母の誕生日
生きていれば67歳になっていただろうか
母は50の時に末期の乳がんを患い、8年の闘病生活の末に亡くなった
自分にとっても、肺のひっくり返るような母の咳を聞くたび、背中に杭を打たれるような気分になる、そんな8年間だった
母は、優しい人だった。よく笑う人だった。子供たちを何より大事に考えていた
母の病状を知ったとき、母を死なせないで下さいと、何度、仏壇に頭を下げただろうか
その願いは通じたけれど、大きな代償が与えられた
耐えられなかった。見ていられなかった。耳を塞がずにはいられなかった。
最後は、自分の放った一言が、母の引導になってしまった
現実は残酷だ
全てのものが壊れ行く世界
あの日、自分の中の大切なものも壊れてしまった
自分は罰を望み、天はありったけの罰を与えてくれた
そして、9年にわたる絶望の日々は終わった
仏壇には、父と母が並んでほほ笑んでいる。
ホットケーキを作っていると、今日が母の誕生日だということを思い出し、ケーキではないけれど、と出来立てのホットケーキを供えた
美味いものを食わせてやりたかったなんて、後悔をする必要はない
自分の体の半分は父で出来ていて、もう半分は母で出来ている
仏壇に供えた後は、しっかりと味わって食べるのだ
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